コラム

第69回 腸内細菌がストレスを下げる?

2024.02.06

「脳腸相関」という言葉を聞いたことはありますか?

「脳と腸が影響を与え合っている」ことだとすると緊張したりストレスを感じた時に

おなかがキリキリ痛む、 お腹を下す等はイメージしやすいかもしれません。

 

近年まであまり注目されてこなかった分野でしたが、2004年に九州大学教授の須藤信行さんらが行った 

「腸内細菌の有無とストレスの関係」を調べたマウスでの実験で

「腸内細菌の有無が脳内でのストレス反応に影響を及ぼしている」 という結果が発表され、

以来注目が高まっています、

しかも研究結果では腸内細菌全般がストレス反応を抑えるのではなく、

特定の腸内細菌のみがストレス反応を抑える働きを持つこともわかったのです。 

 (当時の結果ではビフィズス菌がマウスのストレス反応を低減) 

 

ストレス反応以外にも、脳の病気であるパーキンソン病やアルツハイマー病患者の

腸内フローラは健康な人と比べて多様性に乏しいことや、 

アルツハイマー病ではビフィズス菌の数が健康な人に比べて少ないなど、 

それぞれの疾患ごとに特定の菌種が少なかったり逆に多かったりすることもわかってきました。 

身体に感じる「痛み」の強さにも腸内細菌が関わっているという研究もあるようです。 

 

最近はスーパーでも「~に良い乳酸菌」といった特定の乳酸菌を目的ごとに 

買い求めることができるようになってきましたよね。 

腸内細菌によってストレスが軽減されて快適に毎日を送れたり、 認知症を予防できるの

であればとても夢のある話です。 

 

脳腸相関の研究はまだまだ新しい研究分野のため今後研究が進んで、

腸内細菌を補うことで治療に近い効果またはそれ以上の健康効果が得られる未来に期待したいですね。