2022.11.15
前回はEMDRの始まりについてお話をしましたが、
今回はEMDRのメカニズムについてお話をしたいと思います。
前回の記事でも少し触れたように、EMDRはPTSDの治療に多く用いられています。
PTSDとは、強い恐怖やショックを伴う出来事にさらされた後、生活の中でその記憶が突然フラッシュバックしたり、
悪夢をよく見るようになったり、不安やイライラ、緊張などが続く状態を言います。
(厳密には医療機関で診断名がつきます)
EMDRでは、ショックや恐怖が大きすぎて処理しきれなかった体験が脳に閉じ込められ、
その後ネガティブな感情や体験を繰り返し思い出すことにつながっていると考えます。
当時の体験が深刻なほど、その瞬間の映像、音、臭いなどの感覚が混乱したまま閉じ込められ、
ささいなきっかけでフラッシュバックを繰り返すことになるのです。
そのような苦痛を伴う状態から解放するために、EMDRでは眼の動きや身体感覚、言葉を使いながら
「もう一度記憶のお片づけをしてね」という刺激を脳に送ります。
また、自分にとってポジティブな記憶と繋がるのを促し、ネガティブな記憶の処理の助けとすることもあります。
実際に処理を行っていると、昔何かの合格を掴み取った体験や、仲間に囲まれて楽しく過ごしていた瞬間
といったポジティブな記憶とつながり、「自分はネガティブな存在ではなかった」という気づきと記憶の処理が
同時に起こることもあります。
EMDRの脳科学的なメカニズムは明確には解明されていませんが、
自分が本来持っている回復力を後押してくれる心理療法の1つとなっています。
当相談室でも10月からEMDRを開始しましたので、ご希望の方、話を聞いてみたいなという方は
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※心身の状態によって他の心理療法を提案させて頂くこともございます。