コラム

第36回 EMDRって何?①

2022.11.01

 

みなさんは、「EMDR」というトラウマ治療に特化した心理療法があるのをご存じですか?

今回はそのEMDRが生まれるきっかけとなったエピソードをご紹介します。

 

1980年代のアメリカで「乳がんが再発するかもしれない」という恐怖心を抱えた1人の心理学者がいました。

 

ある日彼女が気晴らしに公園を散歩していたところ、突然、自分の気持ちがすっと楽になる瞬間を体験します。

「自分は今一体何をしていたの?」と彼女はその瞬間を思い返してみました。

すると思い出したのは「自分の目を左右に動かしながら歩いていた」ということでした。

 

試しに彼女は嫌なことを考えながら再び目を左右に動かすと、確かに気持ちが楽になるのを感じました。

その後周囲の人にも試してもらい、彼らの嫌な気分にも変化が生じることがわかりました。

 

「これはもしかしたらすごい発見かもしれない」とその女性(Shapiro;シャピロー)は研究を重ね、

「眼」や「身体」の左右の動きを使って記憶の片づけを行う「EMDR(Eye Movement Desensitization

and Reprocessing)」という治療法を1989年に発表しました。

発表から今日に至るまで、日本でもトラウマ治療を中心に多く取り入れられ、その効果が実証されています。

 

2019年にShapiro先生はお亡くなりになりましたが、EMDRは今やトラウマに苦しむ世界中の人々に光を与えています。

 

当相談室でも10月からEMDRを開始しましたので、ご希望の方、話を聞いてみたいという方は

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